- お中元・お歳暮の「正しい時期」と地域によるズレの対処法
- 関係性・立場別の相場金額と選び方の基準
- のし・水引・表書きの正しい書き方(図解あり)
- 「今さら聞けない」よくある疑問と現代的なマナーの変化
- やめ方・断り方・初めて贈る場合の注意点まで網羅
はじめに:「今どきお中元・お歳暮って必要なの?」と思っているあなたへ
毎年夏と年末になると、こんな悩みが頭をよぎりませんか?

「上司にお中元を送るべきかどうかわからない。送らなかったら失礼?」
「去年は送ったのに、今年やめるのはアリなの?」
「どこで買えばいいの?デパート?ネット?のしはどうするの?」
「そもそも相手が好きじゃないものを送ってしまったらどうしよう」
SNSを見ると、お中元・お歳暮に関する正直な声がたくさん出てきます。
「会社に入ってから上司にお歳暮を送るべきか毎年悩む。周りに聞いても人によって言うことが違って結局よくわからない」
「取引先からお中元が届いた。お返しって必要?どうすればいい?」
「お歳暮で毎年同じビールセットを送ってたけど、相手がお酒をやめたと知って焦った。今から変えてもいい?」
「実家の親に毎年お歳暮を送り続けてるけど、そもそも家族に送るのってどうなんだろう」
お中元・お歳暮は日本独自の贈り物文化ですが、その細かいルールを体系的に教わる機会はほとんどありません。
「なんとなくやっている」「なんとなく続けている」という人がほとんどで、だからこそ毎年同じ悩みが繰り返されます。
① 結論:お中元・お歳暮は「義務」ではなく「関係を維持する手段」

最初に、大事なことをはっきり言います。
お中元・お歳暮は法律でも社会的義務でもありません。でも、ビジネス・人間関係の文脈では「送る・送らない」が相手への態度として読まれます。
「今どき不要」という意見も増えていますし、実際に廃止している企業・職場も多い。
でも一方で、「毎年贈り続けている関係」において突然やめることは「縁を切るサイン」と受け取られる可能性があります。
つまり、お中元・お歳暮の正解は「やる・やらない」の二択ではなく、「誰に・どんな関係で・どう続けるか」によって判断するものです。
この記事を読めば、その判断基準が明確になります。
② 理由:なぜお中元・お歳暮という文化が存在するのか
2-1. お中元・お歳暮の起源
お中元の起源は中国の道教にある「三元」という考え方に由来し、旧暦1月15日(上元)・7月15日(中元)・10月15日(下元)の節目に先祖の霊を供養する風習が日本に伝わったものです。
日本では江戸時代に、商人が盆の時期に日頃お世話になった取引先や親戚へ贈り物をする慣習として定着しました。
お歳暮は年末に「今年一年お世話になりました」という感謝を形にする贈り物。
もともとは年神様へのお供えを親類・知人に配る習慣がルーツとされています。
どちらも「日頃の感謝を形にする」という本質は同じ。
時代と文化の中で洗練されてきた、日本ならではのコミュニケーション文化です。
2-2. お中元とお歳暮、どちらが重要か
「どちらかしか送れない場合はどうすれば?」という質問をよく受けますが、お歳暮のほうが格式・重要度が高いとされています。
理由は「一年の締めくくりの感謝」という意味合いが強いから。
お中元を省略してもお歳暮は続ける、という選択は多くのビジネスシーンで認められています。
逆(お歳暮を省いてお中元だけ)は一般的ではありません。
2-3. 贈らなかった場合のリスク
「送らなくても別に問題ないでしょ」と思う人も多いですが、長年続いている関係で急に途絶えると、相手に「何かあったのか」「嫌われたのか」という印象を与えるリスクがあります。
特にビジネス上の取引先・お世話になっている上司・仲人などへの贈り物は、「関係を大切にしている」というメッセージとして機能しています。
だからこそ「やめるときのやめ方」も大事で、後述します。
③ 正しいマナー:時期・相場・選び方・のし・渡し方の全て
3-1. 贈る時期:地域によって変わる「正しい時期」
お中元・お歳暮には、地域によって異なる「贈る時期」があります。
全国一律ではないため、相手の居住地に合わせることが丁寧です。
お中元の時期
| 地域 | 時期の目安 |
|---|---|
| 北海道・東北 | 7月15日〜8月15日 |
| 関東・全国標準 | 7月1日〜7月15日 |
| 東海・近畿・中国・九州 | 7月中旬〜8月15日 |
| 四国・沖縄 | 8月1日〜8月15日 |
関東では7月15日までに届けるのが基本で、それを過ぎた場合は「暑中見舞い」「残暑見舞い」として贈ります。
お中元の時期を過ぎてしまった場合の表書き:
- 8月7日(立秋)まで → 「暑中御見舞」
- 8月7日以降〜8月末 → 「残暑御見舞」
「お中元の時期を逃してしまった」場合でも、表書きを変えることで気持ちよく贈れます。
お歳暮の時期
| 地域 | 時期の目安 |
|---|---|
| 全国共通(目安) | 12月1日〜12月20日 |
| 関東 | 12月1日〜12月20日 |
| 関西 | 12月13日〜12月20日 |
12月20日を過ぎてしまった場合は「お年賀」(1月1〜7日)として贈ります。
さらに遅れた場合は「寒中御見舞」(1月8日〜2月3日)として贈れます。
先方が年末年始に不在の場合: 年末年始を旅行・帰省などで不在にする可能性がある場合は、12月20日より少し早めに届くよう手配するのが親切です。
3-2. 相場:関係性・立場別の金額目安
お中元・お歳暮の相場は「高すぎず・安すぎず」が鉄則です。
高額すぎると相手に気を遣わせ、安すぎると「軽く見られた」と感じさせることがあります。
お中元の相場
| 関係性 | 相場金額 |
|---|---|
| 職場の上司・先輩 | 3,000〜5,000円 |
| 取引先・ビジネス関係 | 3,000〜5,000円 |
| 仲人・媒酌人 | 5,000〜10,000円 |
| 親戚(祖父母・叔父叔母) | 3,000〜5,000円 |
| 子どもがお世話になった先生 | 3,000〜5,000円 |
| 習い事の師匠・先生 | 3,000〜10,000円 |
お歳暮の相場
| 関係性 | 相場金額 |
|---|---|
| 職場の上司・先輩 | 3,000〜5,000円 |
| 取引先・ビジネス関係 | 3,000〜5,000円 |
| 仲人・媒酌人 | 5,000〜10,000円 |
| 親戚(祖父母・叔父叔母) | 3,000〜5,000円 |
| 師匠・恩師 | 5,000〜10,000円 |
ポイント:
- お歳暮はお中元より少し奮発するのが一般的(お中元3,000円ならお歳暮5,000円など)
- 毎年継続する場合は同額を維持するか少しずつ上げるのが自然
- 相手から高額の品をもらっている場合は合わせるか、少し控えめにする
3-3. 何を贈るか:喜ばれるギフトの選び方
お中元・お歳暮のギフト選びには「定番を外さない安心感」と「相手の好みに合わせた特別感」のバランスが大切です。
お中元の定番ギフト
夏場のお中元は「涼しさ・爽やかさ・実用性」がテーマです。
| ジャンル | 具体例 |
|---|---|
| 飲み物 | ビール・ジュースセット・高級お茶・コーヒーギフト |
| 食品 | そうめん・うどん・ハム・ベーコンセット |
| スイーツ | ゼリー・水羊羹・アイスクリームセット |
| 調味料 | オリーブオイル・醤油・ドレッシングセット |
| 日用品 | タオルセット・石けん・洗剤セット |
特におすすめ: そうめんは「日持ちする・好き嫌いが少ない・夏らしい」という三拍子揃った定番中の定番。
ビールセットは喜ばれる反面、飲まない方に送ると困らせる可能性があるため事前確認が必要です。
お歳暮の定番ギフト
年末のお歳暮は「年末年始に使える・豪華感・保存できる」がテーマです。
| ジャンル | 具体例 |
|---|---|
| 食品 | カニ・鮭・ハム・黒毛和牛など |
| 鍋・汁物 | 鍋セット・雑煮の食材セット |
| お酒 | 日本酒・ワイン・ウイスキー |
| スイーツ | クッキー・ケーキ・バウムクーヘン |
| 調味料 | だし醤油・かつおぶし・味噌セット |
| カタログギフト | 相手に選んでもらえる |
最近人気が高まっているもの:
- カタログギフト:相手が自分で選べるため「外れがない」。高齢の方にも好評
- 産地直送品:「〇〇産の海産物」「農家直送の野菜セット」など品質の高さが伝わる
- 体験型ギフト:温泉宿の食事券・グルメ体験など
避けたほうがいいもの
① 相手のアレルギー・嗜好を考慮していないもの お酒を飲まない相手へのビールセット、乳製品アレルギーの相手へのチーズセットなど。事前に確認できない場合は食品以外か汎用性の高いものを選ぶ。
② 日持ちしないもの 生菓子・生花など賞味期限が短いものは、相手が不在のときに届いてしまうと困らせます。
③ 縁起物として避けるべきもの(目上の方へ)
- 刃物(ハサミ・包丁)→「縁を切る」に通じる
- ハンカチ(白いもの)→「手巾(てぎれ)=手切れ」に通じる
- 下着・靴下 → 「踏みにじる」「見下す」とされることがある(特に年上の方へ)
3-4. のし・表書き・水引の正しい書き方
お中元・お歳暮には、のし紙をつけるのが正式なマナーです。
のし紙の種類
| 項目 | お中元 | お歳暮 |
|---|---|---|
| 水引の形 | 蝶結び | 蝶結び |
| 水引の色 | 紅白 | 紅白 |
| 表書き(上段) | 「御中元」 | 「御歳暮」 |
| 表書き(下段) | 贈り手の名前 | 贈り手の名前 |
蝶結びを使う理由: 蝶結びは「何度でも結び直せる=繰り返しめでたいことがあってよい」という意味で、お中元・お歳暮のような継続的な贈り物に適しています。
結婚祝いなどは「一度きり」の意味で「結び切り」を使いますが、お中元・お歳暮には使いません。
表書きの書き方
夫婦連名の場合:
- 中央に夫の名前を書き、左側に妻の名前を書く
会社・法人名の場合:
- 会社名+担当者名(例:「〇〇株式会社 〇〇」)
連名(3名まで):
- 右から順に役職・年齢が上の人から書く
連名(4名以上):
- 「〇〇一同」と書き、別紙に全員の名前を書いて添える
3-5. 贈り方:直接渡す・郵送・百貨店配送の選び方
直接持参する場合
最も丁寧な贈り方は「直接持参して手渡しする」こと。
手渡しのマナー:
- 必ず事前にアポイントをとってから訪問する
- 紙袋に入れて持参し、渡す際は紙袋から出して両手で渡す
- 「心ばかりではございますが」「つまらないものですが」などの謙遜の言葉を添える
※「つまらないものですが」は「中身が特別なものでなく恐縮です」という謙遜表現で、現在も目上の方に使える言い回しです。
ただし「本当につまらないものを渡す」と言っているわけではないため、ネガティブに受け取る人もいます。
気になる場合は「心ばかりの品ですが」「ほんの気持ちですが」でOK。
郵送・宅配の場合
現代では郵送・宅配で贈るのが最も一般的です。
デパート・百貨店からの配送: 地元の百貨店・専門店で購入し、そのまま配送依頼するのが最もスマート。
のし紙の印刷・ラッピング・配送手配をまとめてお願いできます。
ネット通販からの配送: 最近はAmazonや楽天などECサイトからのし対応・ギフト包装で配送できるサービスが増えています。
ただし品質の確認ができないリスクがあるため、信頼できるショップ・ブランドを選ぶことが大切。
配送時のポイント:
- 先方が長期不在の可能性がある場合は事前に確認・日時指定をする
- 生鮮食品・要冷蔵品は特に配達日指定をしっかりする
- 配送前に一言「〇〇をお送りしました」とメッセージを入れると丁寧
3-6. お礼状・お返しの正しい対応
もらった側のお礼状
お中元・お歳暮を受け取ったら、速やかにお礼状を出すのが正式なマナーです。
現代ではメール・LINEでのお礼も許容されますが、目上の方へは郵便でお礼状(はがき・封書)を書くほうが印象が良いです。
お礼状の書き方(基本):
拝啓
盛夏の候、ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
このたびはご丁寧にお中元の品をお送りくださいまして、
誠にありがとうございました。
いつながらのご厚情に心より感謝申し上げます。
暑さ厳しき折、どうかご自愛くださいますよう
お祈り申し上げます。
敬具
ポイント:
- 品物が届いたらできるだけ早く(3日以内)に出す
- 品物の感想を一言入れると印象がよくなる
- 相手の健康・近況を気遣う言葉を添える
お中元・お歳暮にお返しは必要か
基本的に、お中元・お歳暮へのお返しは不要です。
ただし、お礼状は必ず送ること。
お礼状がないと「受け取った旨が伝わっていない」「感謝がない人」という印象を与えます。
例外として、目上の方からいただいた場合や、相手の気持ちに応えたいと思う場合は、異なる時期(お中元をもらったら、お歳暮で少し返す等)に贈ることがあります。
④ NG例:やりがちなお中元・お歳暮の失敗パターン10選

❌ NG①:時期を大幅に外して「お中元」の表書きで送る
お中元の時期(関東では7月15日まで)を過ぎてから、そのまま「御中元」と表書きして送るケース。
なぜNG?: 時期を外れた「御中元」表書きは、マナー知らずの印象になります。
「間に合わなかった」ことが丸見えで、かえって失礼です。
改善策: 時期を過ぎたら表書きを変える。
8月7日(立秋)まで→「暑中御見舞」、それ以降8月末まで→「残暑御見舞」で贈れば問題なし。
❌ NG②:アルコールが飲めない相手にお酒を送り続ける
長年ビールセットを贈っていたが、相手が健康上の理由でお酒をやめていた、というケース。
なぜNG?: 「飲めない・使えないものをもらっても困る」という状況は、善意が空回りする典型。
特に毎年同じものを贈り続けている場合は、相手が気を遣って「もらっています」と言い続けているだけかもしれません。
改善策: ギフト選びは「今の相手の状況」に合わせて毎年見直す。
「最近お好みのものはありますか」と事前に聞くのも誠実な対応。
❌ NG③:結び切りの水引を使ってしまう
「なんとなく豪華に見えるから」と、結婚祝いなどに使う「結び切り」の水引でお中元・お歳暮を送るケース。
なぜNG?: 結び切りは「二度と繰り返さない」という意味の水引で、お中元・お歳暮のような継続的な贈り物には使いません。
目上の方に送った場合は「マナーを知らない人」という印象を残します。
改善策: お中元・お歳暮は必ず蝶結びの水引を使う。デパートで購入・依頼すれば間違いなし。
❌ NG④:急に贈るのをやめる
長年続けてきたお中元・お歳暮を、特に理由も知らせず突然やめるケース。
なぜNG?: 「今年は届かなかった…何かあったのかな」「失礼なことをしてしまったか」と相手を不安・心配させます。特に目上の方・仲人など礼を重んじる関係では、関係の悪化につながりかねません。
改善策: やめる場合は「段階的に」が基本。
お歳暮は続けてお中元をやめる→翌年お歳暮も控える、という段階的なフェードアウトが自然。
または「今後はご遠慮させていただきます」と一言添えた挨拶状を送る。
❌ NG⑤:日持ちしないものを事前確認なしに送る
生菓子・フルーツ・生花など、賞味期限が短いものを相手の予定を確認せずに送るケース。
なぜNG?: 先方が旅行・出張・帰省で長期不在の場合、品物が届いても受け取れず腐らせてしまうことがあります。特に年末年始は長期不在になりやすい時期。
改善策: 生鮮品・要冷蔵品は必ず配達日を指定し、「〇日頃に届きます」と事前に連絡する。
不在が長引きそうな時期は日持ちするものを選ぶ。
❌ NG⑥:のし紙を外から見えない位置に貼る(内のし・外のし の混同)
「外のし」(包装紙の上にのし紙をかける)と「内のし」(品物に直接のし紙をかけてから包む)を混同し、内のしにすべきところを外のしにするケースやその逆。
基本の使い分け:
- 外のし:直接手渡しする場合(誰からのお祝いかひと目でわかる)
- 内のし:配送・郵送で贈る場合(のし紙が汚れ・破れないための配慮)
郵送の場合は内のしが一般的です。デパートに依頼すれば適切に対応してもらえます。
❌ NG⑦:自分より目上の人から先に贈ってもらう
お中元・お歳暮は本来「お世話になっている目下の人から目上の人へ贈るもの」。
なのに、上司や取引先から先に届いてしまうケース。
なぜNG?: 先に相手から届いてしまうと「贈ってもらっているのにこちらは送っていなかった」という状況になり、印象が悪くなります。
改善策: 贈るべき相手には早めに手配する習慣をつける。
「去年はいつ届いた?」とカレンダーで記録・管理しておくと翌年ズレが防げます。
❌ NG⑧:受け取りを拒否した相手に毎年贈り続ける
「辞退させていただきます」と断られたにもかかわらず、「気持ちだから」と贈り続けるケース。
なぜNG?: 相手が断るには理由があります(会社のコンプライアンスポリシー・個人的な方針など)。
断られた後も贈り続けると、相手に手間をかけさせ、関係を悪化させるリスクがあります。
改善策: 断られたら潔く受け入れる。
「承知いたしました。今後はご遠慮させていただきます」と伝えて終わりにする。
その後は年賀状や挨拶メールで関係を維持する方法に切り替える。
❌ NG⑨:会社の規定を確認せずに贈る
会社によっては「取引先からの贈り物は受け取り禁止」というコンプライアンス規定があります。
贈る前に相手の会社のルールを確認しないケース。
なぜNG?: 取引先の担当者が社内規定で受け取り禁止なのに品物が届いてしまうと、返却や報告の手間をかけさせ、相手が困る状況を作ります。
改善策: 新しい取引先・担当者には事前に「御社ではギフトの受け取りは大丈夫でしょうか」と確認する。
また、受け取り禁止の返却連絡を受けたらすぐに対応する。
❌ NG⑩:同じ品を毎年贈り続けて飽きさせる
「ずっとこれを送っているから」と毎年全く同じ品を贈り続けるケース。
なぜNG?: 定番品は悪くありませんが、全く同じものが毎年届くと「マンネリ」「手抜き」という印象になることも。
特に食品は好みや家族構成の変化によって「前と違うものが嬉しい」という場合があります。
改善策: 3〜4年に一度は品物を変えてみる。
「いつもと違うものにしてみました」と一言添えると新鮮さと配慮が伝わります。
⑤ 現代事情:お中元・お歳暮の「今どき」事情
5-1. 企業間でのお中元・お歳暮が減少している
コンプライアンス意識の高まりとともに、特に大企業・公官庁では「取引先からの贈り物受け取り禁止」を規定している組織が増えています。
このことから、ビジネスの場でのお中元・お歳暮は「やらなくてもOK」というムードが広がっています。
一方で、中小企業・個人事業主・士業など、個人の関係が色濃く残る業界では今もしっかり根づいています。
5-2. 家族・親戚間でのお中元・お歳暮は簡略化の流れ
「親にお歳暮を送る必要はない」「兄弟間でやっているが正直めんどう」——こういった声はSNSでも多く聞かれます。
家族・近しい親戚間では「お互いの負担を減らそう」という合意のもとで廃止・簡略化するケースが増えています。
これは決してマナー違反ではなく、関係が近しいからこそ成立する自然な変化です。
「去年から親への歳暮やめた。直接会って一緒に食事するほうがずっと喜ばれるとわかったから」
この発想は非常に合理的で、「形式より実質」という現代の価値観に合っています。
5-3. カタログギフト・デジタルギフトが台頭
「何を送ればいいかわからない」「相手の好みがわからない」という悩みへの解決策として、カタログギフトの人気が上がっています。
カタログギフトの魅力は「相手が自分で選べる」こと。
「モノを増やしたくない」というミニマリスト志向の方にも喜ばれます。
さらに最近は「デジタルカタログギフト」(URLを送ってオンラインで選んでもらう形式)も登場し、郵送コストを省きながらスマートに贈れる方法として注目されています。
5-4. 産地直送・クラフト品の人気上昇
「スーパーで買えないものを贈りたい」というニーズから、産地直送の高品質食品・クラフトビール・地酒・職人が作ったギフトセットなどが人気を集めています。
特に「〇〇産の海産物」「農家直送の野菜セット」「こだわりの出汁セット」など、「ここでしか手に入らないもの」を贈ることで、相手に「よく考えて選んでくれた」という印象を与えられます。
5-5. SNS・ECサイトでの「ギフト発見文化」
以前はデパートの贈り物フロアで選ぶのが主流でしたが、今やInstagram・Pinterestで「お歳暮おすすめ」と検索したり、Amazonや楽天の特集ページから選ぶのが当たり前になっています。
価格比較もしやすく、レビューを確認してから購入できるため、「ハズレを引くリスク」が大幅に下がっています。
⑥ お中元・お歳暮をやめるとき・断るときの正しい対応
やめ方:段階的にフェードアウトが基本
長年続けてきたお中元・お歳暮をやめたい場合の正しい手順。
ステップ①:まずお中元を省略する お歳暮だけ続け、お中元を送らないようにします。これで「忙しかったのかな」程度に受け取られます。
ステップ②:翌年のお歳暮も控える、または規模を縮小する お歳暮の金額を少し下げてから、翌年は送らない、という段階的な方法が自然です。
ステップ③:挨拶状で正式に知らせる どうしても急にやめる必要がある場合は、「諸事情により今後はご遠慮させていただきます」と一言添えた挨拶状を送るのが丁寧です。
断り方:受け取りを辞退したい場合
相手から「今後はお気遣いなく」と言われた場合は素直に受け取りましょう。逆に自分が断りたい場合は:
このたびはお心遣いをいただき、誠にありがとうございます。
誠に勝手ながら、今後このようなお気遣いはご遠慮いただけますと幸いです。
これからも変わらぬお付き合いをよろしくお願い申し上げます。
このような文面で、柔らかく・明確に伝えることができます。
よくある質問 Q&A
- お中元・お歳暮は両方送るべき?どちらか一方でもいい?
どちらかだけでも問題ありませんが、両方送る場合はお歳暮のほうが格式が高いため、どちらか選ぶならお歳暮を優先します。
- 初めて贈る場合、いきなり送っても失礼ではない?
問題ありません。ただし、初めての場合は「今年からお世話になっておりますので」という一言を添えると自然です。
- 転勤・退職した上司にもお中元・お歳暮を送り続けるべき?
義務ではありませんが、特にお世話になった方であれば数年は続けるのが礼儀とされています。
関係が薄くなってきた場合は段階的にフェードアウトするのが自然です。
- お中元・お歳暮を受け取ったら必ずお返しが必要?
お返しは不要ですが、お礼状(または電話・メール)は必ず送りましょう。
品物が届いたこと・感謝の気持ちを伝えるのがマナーです。
- 食品アレルギーがある相手への選び方は?
アレルギーがわかっている場合は食品を避けタオル・日用品・カタログギフトを選ぶのが安全。
事前に確認できる関係なら「何かご希望は?」と聞くのも親切です。
- のしなしでも大丈夫?
カジュアルな関係であればのしなしでも問題ありません。
ただし、目上の方・ビジネス関係・仲人など礼を要する相手にはのしをつけるのが基本マナーです。
まとめ:贈る前チェックリスト

お中元・お歳暮は「ルールが面倒くさい」のではなく、「相手への敬意と感謝を正しく届けるための型」です。
型を知っていれば、迷わず気持ちよく贈れます。最後に、贈る前に確認したいチェックリストをまとめます。
✅ 時期の確認
- 贈る時期は相手の地域に合っているか
- お中元は7月中旬(関東)・お歳暮は12月20日までに届くよう手配しているか
- 先方が不在になる可能性を考慮して日時指定しているか
✅ 中身の確認
- 相手が飲食できるものを選んでいるか(アレルギー・アルコール等)
- 日持ちするものか(生鮮品の場合は配送日指定済みか)
- 金額は相場の範囲内か
- 毎年同じものを送り続けていないか
✅ のし・包みの確認
- 水引は蝶結びか
- 表書きは「御中元」または「御歳暮」か
- 贈り手の名前は正しく書いてあるか
- 郵送の場合は内のしになっているか
✅ 渡し方の確認
- 直接渡す場合は事前にアポを取っているか
- 郵送の場合は「〇日頃に届きます」と連絡したか
- 受け取り禁止ポリシーの確認はしたか
お中元・お歳暮は、年に2回「この人を大切にしています」という気持ちを形にする機会です。形式にとらわれすぎず、でも最低限のマナーを守りながら、心を込めて贈ることが一番大切。

「今年もお世話になりました」——そのシンプルな気持ちが、正しく届きますように。
